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■境界確定訴訟

地番を付された一筆の土地と、これに隣接する他の地番を付された一筆の土地とを区画する線を境界(筆界)といい、この境界が不明確な場合に、これを解決するためにする訴訟。

境界確定訴訟では、裁判所は、当事者の主張に拘束される事はなく、証拠が明らかではない場合や相手方当事者の主張する事実を認める陳述(自白)があったとしてもそれに拘束される事はなく、必ず境界を確定しなければならない。したがって、当事者も境界を定めるための和解は出来ない。

裁判所により、公平な立場から境界を確定するので、境界が明らかになれば所有権の範囲に関する紛争の解決にも基準を与えることとなる。

この訴訟は、公法上の境界(筆界)を対象としているため、私人間の権利紛争を解決するための民事訴訟法手続がそのまま適用されない。

判決に不服がある当事者は上訴(控訴・上告)する事はできるが、上訴審の裁判所は、不服申し立ての内容に拘束されないので、不服申し立てをした当事者にさらに不利益となる判決がされる場合もあるとされている。

一筆の土地の境界の一部分のみや、起点となる点のみの確定を求めることはできないとされている。

境界の一部分のみに限られた場合、適正な判断が出来ない恐れがあるため。

1  筆界特定がされている場合は、裁判所が、登記官に対し筆界特定手続記録の送付の嘱託をすることが出来るため、争点の整理に活用することが出来る。

2 裁判所は請求を棄却することは出来ず、必ずどこかに線を引かなければならない。(民訴法246条の適用はない)

3 形成の際の要件が法律上規定されていないので、形式的形成訴訟として位置づけられている。