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■筆界特定制度

筆界に紛争がある場合、所有権登記名義人等(土地の所有名義人又はその相続人等の一般承継人、未登記の土地については所有者)が、対象となる土地を特定し、その筆界の特定を必要とする理由等を明らかにして、対象となる土地を管轄する法務局又は地方法務局に申請する。

この制度では、土地の境界の一部の筆界の特定を求める事が可能。

筆界特定登記官は、申請に不備があって却下すべき場合を除き、遅滞なく、筆界特定申請があった旨を公告し、かつ申請人以外の対象土地の所有権登記名義人等のほか、関係土地の所有権登記名義人等に個別に通知する。法務局又は地方法務局の長に指定された筆界調査委員(弁護士や土地家屋調査士等)は土地の測量、実地調査を行い筆界特定登記官に対して筆界特定についての意見を提出する。

 筆界特定登記官は、筆界調査委員の意見を踏まえて、筆界の特定を判断する。

筆界特定に際しては、その結論と理由の要旨を記載した筆界特定書を作成し、申請人にその写しを交付する。さらに、筆界特定した旨を公告し、関係人に通知する。

 しかし、筆界特定制度は筆界を法的に確定するものではなく、筆界の法的確定は裁判所における境界確定訴訟のみによって可能。

1 行政型のADRである。

2 時効の中断が無い。

3 境界確定訴訟手続きにおいて、裁判所が、登記官に対し、筆界特定手続記録の送付の嘱託をすることが出来るため、境界確定訴訟の争点の整理に活用することが出来る。

筆界とは、表題登記がある一筆の土地とこれに隣接する他の土地(表題登記がない土地を含む。)との間において、当該一筆の土地が登記された時にその境を構成するものとされた二以上の点及びこれらを結ぶ直線をいう。

一般承継人(包括承継ともいう)とは、あるものが有する権利・義務の一切を承継すること。具体例として、自然人については相続であり、法人については合併及び会社分割である。対義語として特定承継がある。

筆界特定とは、一筆の土地及びこれに隣接する他の土地について、筆界の現地における位置を特定すること(その位置を特定することができないときは、その位置の範囲を特定すること)をいう。

対象土地とは、筆界特定の対象となる筆界で相互に隣接する一筆の土地及び他の土地を言う。

関係土地とは、対象土地以外の土地(表題登記がない土地を含む。)であって、筆界特定の対象となる筆界上点を含む他の筆界で対象土地の一方又は双方と接するものを言う。