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婚姻成立の要件
夫婦財産の帰属・管理
婚姻の解消と離婚
法律上の子の推定
普通養子縁組と特別養子縁組

第4編 親族  

婚姻成立の要件

法律婚主義 

1 形式的要件 

  婚姻の届出(739条)

2 実質的要件

 @当事者間に婚姻の意思の合致があること(742条)。

 A婚姻適齢(男は18歳、女は16歳)に達していること(731条)。令和4年(2022年)4月1日からは、「婚姻は、18歳にならなければ、することができない。」となる。

 B重婚でないこと(732条)。

 C女が再婚禁止期間(離婚後100日)を経過していること(733条)。

(最高裁判所大法廷の判決を受け法務省が全国の市町村に通知:平成27年(2015年)12月16日で離婚後100日を経過して提出された婚姻届からその届けを受理することとした。)

 ただし、離婚の前から妊娠していた場合にはその出産の日から再婚できる。

 また、前婚の夫と再婚する場合は上記の期間内でも婚姻できる。

 D近親婚でないこと(734条〜736条)。つまり直系血族間及び3親等内の傍系血族間の婚姻は禁止。

  「直系:(1)父母・(2)祖父母 2親等:兄弟姉妹 3親等:おじ・おば、おい・めい」

 E未成年者は父母の同意が必要(737)。令和4年(2022年)4月1日に成人年齢が18歳に引き下げられ、婚姻年齢が男女とも18歳に改正されるのに伴い、この条文は削除となる。

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夫婦財産の帰属・管理

夫婦別財産制(762条)

1 夫婦の一方が婚姻前から有した財産及び婚姻中に自分の名で得た財産はその者だけが所有する財産とする。

2 夫婦の何れかの所有が明らかでない財産のみが共有と推定される。


婚姻の解消と離婚

婚姻は、夫婦の一方の死亡、または離婚によって解消する。

1 協議離婚(763条)

 夫と妻の合意のみによってする離婚を原則とし、離婚届の提出により成立(764条)。

2 調停離婚(調停の場で離婚の合意が成立)

 家庭裁判所に離婚の調停を申し立てる(家事審判法18条)。

3 審判離婚(調停の合意が成立しない場合)

 家庭裁判所の職権で離婚の審判がされる。

 これには、異議の申し立てをして無効にすることもできる。

4 裁判離婚(人事訴訟法2条1号、4条)

 調停または審判によっても離婚が成立しない場合は家庭裁判所に離婚の訴えを提起する。

 ただし、次に掲げる法定の離婚原因が夫婦間にあることを立証しなければならない(770条1項)。

 @不貞行為(配偶者以外の者との浮気) A悪意の遺棄(一方的な家出、または追い出し) 

 B3年以上の生死不明 C回復の見込みのない強度の精神病 Dその他婚姻を継続しがたい重大な自由。

 なお、@〜Cの事由があるときでも、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる(770条2項)。

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法律上の子の推定

1 実子: 嫡出子と非嫡出子

@嫡出子: 妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する(772条1項)。

嫡出の推定:婚姻の成立の日から200日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取り消しの日から300日以内に生まれた子は婚姻中に懐胎したものと推定する(772条2項)。

A非嫡出子: 婚姻関係にない男女から生まれた子で、母子関係は、母の認知を必ずしも必要とせず分娩出産という事実があれば当然に発生する。これに対し父子関係については、認知によって初めて発生する。

 したがって、認知のない非嫡出子には法律上は母はいるが父はいないこととなる。

 父が認知しない場合には、子等からの訴えにより裁判で認知を強制できる(787条)。

2 養子: 普通養子と特別養子

@普通養子: 養親子関係は、養親となるべき者と養子となるべき者との縁組(その旨の合意と届け出)によって成立。

 養子となるべき者が15歳未満のときは、その法定代理人がこれに代わって縁組の承諾をする(797条)。

 普通養子の縁組によっては実親との親子関係は消滅しない。

A特別養子: 法律上実親との関係を消滅させ、養親との間に実の親子と同様の関係を成立させる。

 この場合、養親となる者が家庭裁判所にその申し立てをし、その審判によって成立する(817条の2)。

 ただし養子となる者は15歳未満でなければならない(817条の5)

※民法改正(令和2年4月1日施行)により15歳未満に引き上げられたが、条件付きで17歳までの縁組みも可能になった。

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