積乱雲

■積乱雲
■擾乱(じょうらん)
■線状降水帯



■積乱雲

積乱雲は、強い上昇気流によって鉛直方向に著しくは発達した雲です。
雲の高さは10qを越え、時には成層圏まで達することがあります。
夏によく見られる入道雲も積乱雲です。
一つの積乱雲の水平方向の広がりは数q〜十数qです。
積乱雲がもたらす現象(急な大雨・雹・雷・竜巻などの激しい突風)は、30分〜1時間程度で局地的な範囲に限られます。
積乱雲は、「大気の状態が不安定」な気象条件(擾乱)で発生しやすくなります。
「大気の状態が不安定」とは、上空に冷たい空気があり、地上に温められた空気の層がある状態です。
温かい空気は上へと昇り、冷たい空気は下へと降りようとするため対流が起きやすくなります。
地上付近の空気が湿っている時は、さらに大気の状態が不安定となり、積乱雲が発達しやすくなります。

雲のおおよその位置

対流圏 0mから厚さ11q程度。ただし、対流圏界面(又は圏界面)の高さは、季節や緯度によって高度5qから15qの間で移動する。熱帯地方など緯度の低い所では対流圏界面の高度は高くなり、逆に緯度の高い所では圏界面は低くなる。
対流圏の上部は成層圏

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■擾乱(じょうらん)


地球の大気圏では自転などの影響で常に対流が起こっている。その中でも、普通の動きとは違い、時間とともに刻々と変化する比較的小さな乱れが常に発生している。このように大気が乱れる現象を気象学では擾乱(じょうらん)と呼んでいる。気象擾乱と呼ぶこともある。
大気は常に流動しているが、時間的・空間的にも大きなスケールの中で、ある程度の乱れを起こしている。例えば、偏西風、偏西風波動などといった、年中起こっている大きなスケールの大気の流れの中で、高気圧や低気圧、台風など、発生したり消滅したりを年中繰り返すという、相対的に小さなスケールの運動が見られる。
これは、川の流れが、高地から低地へ流れるという全体的な現象の中で、大きな渦や小さな渦が発生したり消滅したり、また、地形などにより部分的に流れの形を変えているようなことと同じである。
このような、大気の流れの内の大きなスケールの現象に対して、時間とともに刻々と変化する小さなスケールの大気の乱れを、気象学では擾乱(disturbance)と呼んでいる。
また、この擾乱の内、波動性の擾乱(これを波動擾乱という)をもつものを大気擾乱(atmospherric disturbance)という。

擾乱の発生
擾乱は厳密には「定常状態からの乱れ」と定義されている。なお、気象学ではかなり広義に用いられる用語であり、低気圧や低気圧の発生が見込まれる領域のことを擾乱と言ったりもする。
擾乱は大気中に力学的・熱力学的不安定(主に気圧や温度の乱れ)が生じた時に発生する。すなわち、その不安定な状態を解消しようととして起きる運動が擾乱である。
例えば、偏西風波動により気圧の尾根から気圧の谷に吹く風は、地上よりも上空のほうが気圧が高いという力学的不安定が生じるため、それを解消しようと下降気流が発生し、結果的に高気圧という擾乱が生じる。そして、ここで不安定が解消された以上は、それ以上大きな擾乱が発生することはできない。
上記から分かるように、擾乱はその不安定の種類によって時間的・空間的スケールが決まるので大気中には様々なスケールの擾乱が存在する。ただし、それらのスケールの現象が個々に存在するのではなく、それぞれ密接な関連性をもっている。これを擾乱の階層構造と呼ぶ。

擾乱の種類と規模
発生してから数秒間で消えるつむじ風などは、時間的にも空間的にも非常にスケールの小さい現象である。大気中で暖められた空気の塊が上昇する熱泡(熱上昇気流)なども、時間的・空間的に小さいスケールをもつ。
竜巻、積乱雲なども数時間の間発生するだけで、様々な擾乱からみると比較的スケールが小さい。このような数秒から1時間単位の擾乱をマイクロスケールの擾乱と呼ぶ。また、規模の大きな積乱雲による雷雨や竜巻などは数時間に及ぶことが多く、これらの数時間単位の擾乱をメソスケールの擾乱と呼ぶ。
また、低気圧、高気圧、海陸風、熱帯低気圧などの数日間に及ぶ擾乱を総観スケールの擾乱、超長波(波長10q〜100qで、ミリアメートル波)、プラネタリー波(偏西風の波動の内の1つ)、ロスビー波(大陸・海洋の温度差や地形の高低差などによって大気が乱れて生じる地球大気波)などの数か月単位で起こる規模の大きな擾乱を惑星スケールの擾乱と呼んでいる。高気圧などは惑星スケールになることもあり、時間的スケールが大きい擾乱ほど空間的スケールが大きい。

■線状降水帯


海上から大量の暖かく湿った空気の流入が持続し、不安定な大気の状況下で生じる激しい上昇気流によって積乱雲が次々発生、その積乱雲がほぼ同じ場所で線状に連なり長時間強い雨を降らせる現象いう。


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